シンチレータ簡易動作確認

 
シンチレータの簡易的な動作確認用のサンプルです。宇宙線ミューオンなどレートが低いことが前提です。
BRoaD III 用設定ファイル "scintillator_sample.brd3" を文末に添付します。

宇宙線ミューオン粒子数の天頂角依存性を用いて動作確認します。
 

 
 

BRoaD III のカウンタ機能(MsrCnt)を利用して、複数のシンチレータの信号を検出し、ミューオン粒子数をカウントします。

この検出器では、4 本のシンチレータを垂直に組み合わせた 8 本セット(X軸、Y軸、各4本) を 2セット(レイヤ)使用します。
簡易動作確認では、X軸 4 チャンネル 2 レイヤ(計 8 チャンネル)を用いて、宇宙線ミューオン通過時に、2つのレイヤで、ほぼ同時に信号を検出する様子を確認します。


 

粒子の入射角を特定するために、2レイヤのそれぞれ1チャンネルがヒットしたデータを取得する必要があります。
 


 

ミューオンがシンチレータを通過すると可視光が放出され、BRoaD III には、電気的パルスとして入力されます。入力された信号からチャンネル毎に長さが異なる 1us 程度のパルスを生成します。4 入力 XOR は、1 入力のみ 1 の時、1 を出力します。1 チャンネルのみのヒットを選別します。MsrCnt は、入力信号が 1 となる時間を測定します。測定結果は、制御用 PC に CVS ファイルとして保存します。

入力は、電圧閾値を設定できます。閾値に従い入力されたアナログデータは短いパルスとなります。CntFnc(Counter Function) には、カウンタを用いて表現する幾つかの機能があります。ここでは、One-Shot Function (Non-Retriggerable) を用いています。0 → 1 の遷移を検出すると指定された期間 1 を出力します。


 

ロジック(PreLogic/PostLogic)は演算内容を論理式で記述します。記述内容に従い、入力値に対応する値を出力します。
 


 

MsrCnt(Measure Counter)は、計測開始から終了までの時間やパルス数を計測し、ダイアログに表示します。計測結果を CSV ファイルで保存することも出来ます。ここでは、GATE の入力値が 1 で測定期間を示し、SRC の入力値が 1 である時間を計測します。(注1)
 


 

MsrCnt 毎に個別の CSV ファイルを保存します。Gate で示された測定期間が終了毎に1行データを出力します。(注2)
  
  
以下では、BRoaD III の設定内容をアプリケーションの画面キャプチャを用いて説明します。

設定は2つのタブ [Sheet1]、[Sheet2] から構成されます。
[Sheet1]、[Sheet2] 間は [FeedBack] を介して接続されています。[Sheet1] の結果を、[Sheet2] の MsrCnt で集計しています。
 

[Sheet1]

Input で電圧閾値を指定して、ディスクリとして使用しています。
CntFnc を、One-Shot Function Mode で使用して、入力パルスから 1us 程度のパルスを生成しています。解析時にパルス長で、チャンネル番号を識別します。
PostLogic [xor_1]、[xor_2] で、同時に 1 となるチャンネルを除外しています。
 
 

[Sheet2]

4つの MsrCnt を使用します。MsrCnt は、GATE 入力にて測定期間を指定します。測定期間毎に測定結果が計上されます。ここでは、全 MsrCnt の GATE に共通の信号を入力しています。
測定期間中の SRC 入力が 1 である時間を測定します。測定結果は、CSV ファイルとしてPC上に保存されます。
 
 


 
 
粒子の入射角を特定するために、2レイヤのそれぞれ1チャンネルがヒットしたデータを選別する例を以下に挙げます。
 
 

[OK]


 

[xor_1-X_time]、[xor_2-X_time] の値よりチャンネルを特定します。この例では、それぞれ、1010ns、1020ns となります。
[xor_time] の値より、レイヤ間のタイミングのズレが小さいことを確認します。
 
 

[NG: 1 レイヤのみ]


 

[xor_2-X_time] の値が 0 であることより、1 レイヤのみのヒットであることが確認できます。
 
 

[NG: 2 粒子(入射角特定不可)]


 

[xor_1-X_time]、[xor_2-X_time]の値が期待値より小さいことから、除外できます。
 
 
保存したCSVに対して、閾値を決めて処理することで、概ね該当する事象が取得できます。
宇宙線ミューオン粒子数天頂角依存性と取得データを比較し、動作確認を行います。
 
 
マニュアルやアプリケーションを以下からダウンロードできます。実機がなくても設定を作成することができますので、使い勝手やご希望の設定が可能か確認することができます。

BRoaD 関連 ダウンロード

BRoaD III 関連 ダウンロード

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注1: MsrCnt には以下の制限があります。
   GATE にて 200ns より短い測定間隔を指定すると、正しく測定出来ないことがあります。
   測定データの転送は、Ethernet のデータ転送速度による制限を受けます。

注2: CVS データの時刻は、制御PCが付与します。
 
 

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